Hexarthrius bowringi  2008

2008秋産卵セット!リベンジ編  

昨年の自己ブリードの幼虫は今年9月現在も羽化の兆しは有りません、別に入手していた3令ペア(一昨年前2006入荷WDからのWF1幼虫)が、今年6月に揃って無事羽化しました。7月末に後食開始、逸る気持ちを抑え8月末にペアリングも無事済ませメスのみを
セットへ、その翌日には数か所の産卵痕も有り順調な滑り出し、後は無事孵化するのを祈るばかりです。

2008/8/31ボーリン、ペアリング 産卵セット VN材の割り出し
*今回も産卵木はVN材です、樹皮が薄く柔らかめの物は皮を剥かずに使用出来ます。
*材は産卵状況を見ながら交換して、産卵済みの材は別のケースへマットを被せて保管。
*材の端5mm位を鋸で切り落とし、ボサボサを無くすと木口にも良く産み付ける様です。
*VN材は基本的に芯が無く樹皮も薄くて表面産みの種には何でも使える物ですが、ボーリンは少々気難しく硬すぎたり柔らかすぎの材には中々産んでくれません、、、

手持ちのVN材はSとMサイズ合わせて40本弱、本来はS材を3〜4本でセットを組みたい処ですが、気に入ってくれそうな材は手持ちのストックの中でも10数本です。
良い材から使ってますが残りも僅か、少々不安です。

ボーリンWF1♀40mm 卵の保管容器 ボーリン幼虫孵化

9月6日に数か所出ている産卵痕卵から卵の有無をチェック、1個見れれば良かったのですが、勢い余って4個を採卵しました。
採卵した卵は湿らせたキッチンペーパーを重ねた上に置き保管しましたが、全て腐ってしまいました。去年のWDと同じパターンです、、以後は採卵時期を遅らせる方針へ〜

9月20日に産卵より2週間以上経過した材2本から7個の卵を回収、前回とは違いかなり丸みを帯び膨らんだ卵です。5日後に1頭孵化!これなら大丈夫と思いきや、残りは黒くなりダメでした。

家では中央画像の様な容器で卵の保管で他の色虫は殆ど無事孵化させています、ボーリンは卵へ水分のあたりが弱くなるように通常の倍は重ねてますが、ダメですね・・・
解決策が見付からないので、残りは割り出さずに材のまま保管し幼虫で割り出す方針へ変更です。既にブリードに成功されてる方から頂いたアドバイスで一番多かったので。
2008秋  続ボーリン産卵セット!攻略編

先に記述した様に材を割らずに幼虫で取り出すつもりでしたが、保管中の産卵済みの材をチェックすると、材中で既に黒くなってる卵を多数発見してしまい、何とも言えない不安が、過りまして結局保管中の全ての回収済み産卵木を割り採卵を行いました。

10月13日に9月中旬より10月7日までの産卵済みの材割りの結果、材の中で腐った卵〜8個、無事で
有った卵〜約31個でした。先の割り出し分と合わせと40近い数字で、産卵は続行中なので今回産卵は
順調です。さて、ここで問題なのが卵の保管方法・・・以前の保管方法ではボーリンの孵化率は激低なの
が分かり、流石にもう使えません!で今回はマット使用の保管を試みました。

卵の管理方法の模索

A、マットへ完全に埋める。
B、マットに穴を深く開けた穴に卵を入れる。
C、マットに軽く窪みを付け転がす。
D、湿らせたキッチンペーパーにマットをペースト状に塗り付け、軽く窪みを付け転がす。

上記4パターンでの検証結果は?

ボーリン卵 保管パターンC 保管パターンD

●検証結果

先の4パターン中CとDの保管方法にて、卵は腐る事無く膨らみ11月初旬より続々と孵化が始まってま
す、パターンAとBは腐ったりカビが付いたりし結果は芳しく有りません。


孵化の目途が付いた事で、残りの卵をCとDのパターンに切り替え保管する事にしました。
卵とマットの設置面に割り出し時、♀が埋め戻しに詰めた木屑を敷いたりもしましたが、むしろ敷かない方
が良い様です、卵は出来るだけゴミ(木屑、他)を付けない様に綺麗に取り出して保管した方が痛み難い
です。


採卵したタイミングにも依りますが、卵が膨らんだ状態での採卵ならば8割以上孵化するのではと思いま
すが、早期採卵(卵が膨らむ前)の場合は孵化率は若干低下します。


フォルスターやマンディブラリスは膨らむ以前に採っても、湿らせたキッチンペーパーの上に置くだけでも
孵化させる事が出来ます。何故ボーリンだけ孵化率が悪いのか疑問でした。家でのブリード状況から考
えるに多加湿環境に異常に弱いのでは無いでしょうか?卵室にカビが付く状況下では殆ど全滅してしま
います、産卵セットや産卵済みの材の保管には十分気を配って下さい。


11月1日に3回目の採卵にて18個を回収、今回は産卵後1週間以内の膨らんでいない物も多く有りまし
たが、卵は腐る事無く綺麗に膨らんでます。11月半ばには孵化総数は30頭を超え保管中の卵も10数
個残ってますので、一応目標数で有った30頭は採れた事になりました。

1♀に今や貴重なVN材30本以上費やした結果ですが、ダメにした卵の数20個強を加えた産卵総数は
70に届きそうな感じです。(11/15,現在も産卵中なので)


ボーリンとマンディブラリスの卵保管 孵化中のボーリン 産卵開始より2ヵ月半目

左 カップで保管中がボーリン、隣のケースで保管がマンディブラリスです。こんな感じでガラス温室に保
管し暇さえ有れば孵化していないかと覗いてます。

中 11月に入ってからは毎日3〜5頭づつ孵化してきました。
右 11月も半ばに差し掛かり動きに力強さも無く空砲も目立って来ましたが、符節切れも未だ無く産卵
中、かなり優秀な♀です!

11月末〜
約3ヵ月間に亘る本年のボーリン産卵セットも終焉を迎えようとしています、VN材も使いきり当てにしていたVN材の予約も2回連続で空振りでした。16日の採卵を最後に卵は出無くなり、カワラ材や殖菌材の代用品で現在も組んでますが反応は薄く見込めません。既に採卵数に材中で腐ってしまった卵の数を加えると80個以上の卵を産んでいる事になりますので之以上望むのは酷カナ?
12月中旬種親♀の寿命全うにて終了

*最終結果*

産卵総数 約85個以上 採卵時に既に腐り回収不可能も含む
孵化総数 40頭    孵化後に没は除く

産卵環境及び使用資材  業務用大型ワインセラーにて19〜20℃
ケース     コバシャ大×4
埋め込みマット Rマット(GROW製)
使用産卵木   VN材30本以上 殖菌カワラ材Sサイズ3本

卵の保管環境  クーラー装備のガラス温室にて20〜21℃
プリンカップ  ハードタイプ(Yrti,s製)
マット     Rマット(GROW製)

序盤こそ卵の保管方法に迷いが有り沢山の卵を腐れらせてしまいましたが、中盤以降は無事に孵化させれる方法に辿り着き予想以上の頭数を得る事が叶いました。1♀に対し30本以上のVN材を使い沢山の卵を産んでもらい、孵化率の悪さをカバーした結果でも有ります。

あとがき

御質問の中でも一番多かったのは採卵のタイミングでした、本来産み付けられた卵が腐らせないセットを組めれれば幼虫で割り出すのがベストですが、コレが一番難しい・・・
出来るだけ産卵より20日も過ぎれば採卵後一週間以内で孵化しますのでリスクは少ないのですが、この間に腐る確率が激高なのです。逆に卵が膨らむ前の早期採卵でも孵化率は激減します、極力産み付けられてから10日間位待ってから取り出す事を御勧め致します。
当HPに紹介した卵の保管方法では8割以上の孵化率でしたので御試しになるのも良いと思います。

自分ダケかも知れませんが、とにかく産卵セットを毎日チェックしてました。。(^^ゞ
主に産卵ポイントの確認ですが、他にも材に付いたカビをコマ目に拭き取ったり、手足にカビが巻き付いたら洗い流したり等々。。リビングの一角が私の飼育スペースなのですが、セラー側面より♀の産卵していたのに気が付いた時などは虫の気が散るからと、子供を強引に寝かし付け明かりを消した中で一人深夜遅くまでボーリンの産卵を見て楽しんでました。個体数も増えましたので、今度は内歯突起の大きな80UP個体作出を夢見て頑張ります!幼虫の飼育状況も数種類のマット、菌糸を検証しながら載せて行く予定です、之からも応援宜しく御願い致します。

卵の保管方法についての追記

2009/8追記

当HPボーリン飼育記録中に有る卵の保管方法パターンEに付いての御質問を多々頂いておりメールで訪ねて来られた方へは個々に御答えしてました、今期もブリードシーズン直前になり同様の御尋ねが入る様になりましたので追記させて頂きます。

まず最初に当方のブリード方法は採卵が前提です、卵の保管方法も無事孵化させる事のみの物で孵化後には幼虫を別の保管方法にて行う必要が有ります事を御承知下さいませ。

本文中に有ります卵の保管方法パターンEはパターンCとDにて良い結果が見れた事で掴んだ感じを卵の膨らみ具合に合わせて保管容器を作成した物でマット量やペーパーの加水分も個々に違う為に細かい表記はしませんでした、画像でも分かる様に基本的な作り方は保々同じで更に早期採卵にも対応出来る様に改良したものと御考え下さい。

使用した資材は表記の通りです、別のマットやカップを使用した場合は別物になる可能性が有り孵化率も低下する可能性が考えられます。

本来デリケートな卵を孵す為の保管容器です、作成に措きましても麺棒やピンセット等使用した細かい作業が必要になります。

また卵を入れた容器の保管環境にも左右されます、最初の内は卵の数を小分けし各々に変化をつけて逸早く孵化率の良いレシピを掴んで下されば多くの幼虫を得られる事と思います。