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ウエストウッディの羽化
Q&A
原産地
インド / ダージリン.・カリンポン・アルナーチャル・シッキム
ブータン /サムチ州ドロカ
ネパール /他?
飼育期間
2009〜現在
「BE-KUWA」50号インド特集へウッディ飼育レポート掲載
原産地はヒマラヤ山脈を跨ぐインド、ブータン、ネパールの国境沿いに分布しており、近接する中国側(チベット自治区)にも生息するのでは?と地図を見る度に想いも馳せます。
野外品は例年7月後半〜8月に入荷し例年インド(ダージリン・カリンポン)産が、入荷しております、また過去にブータンとネパールからの入荷実績もあります。
原名亜種として入荷した個体については原産地毎の明確な違いは無い様です。
ウッディSSP表記となるアルナーチャル州産には形状の違いが見られるとの報告を頂いてます。
何と言っても黒光する絶妙なRの大顎が織りなすフォルムはカッコ良いの一言。しかもオオシカと名のとおり100mmに迫るサイズも狙えるクワガタ最高峰!
2009年に初二令10頭と3令ペアより飼育開始し、2011年に初セットに臨みました。それが想定以上の結果で100頭を超す幼虫を得る事に!
翌年には野外品でのブリードを行い益々オオシカの深みにハマってます。
飼育スタート編
先ず、どのステージより飼育開始するかを思案される事でしょう、野外品(WD個体)>飼育品新成虫>飼育品幼虫の順に流通量とコスト面共に入手しやすくなります。
また産地についても一考したいところです。過去の野外品入荷数が少ない産地ほどレアとも言えますが、累代を続ける上では大きなデメリットにもなります。
近年入荷したアルナーチャル州産以外は特筆した外見の違いも見られない事を考えれば、いざと言う時に探しやすいメリットから流通量の多いいインド産がオススメでしょう。
見
幼虫飼育編
飼育難易度が高いイメージから幼虫飼育も難しい先入観を持ちがちですが、幼虫の食性に特筆すべき癖も少なく一般的なヒラタケ系からカワラ等の市販菌糸ボトルで飼育可能です。
よりオオシカ幼虫育成をターゲットにしたタイプ「FE」ボトルなども販売されており、初めて飼育される方には心強いですね。概ね♂の場合20〜30g、♀は8〜15gに成長します。20g台で80up確定し、30gへ近ずく程90upも視野に入ります。
発酵マットでの飼育は孵化後の初二令期に使用してます、未検証ですが、マットのみでも成虫へかえせるとは思います。菌糸への適応性は高い方ですが根喰系に合った物を選んで下さい、ノコ・フタマタ・シカ等で実績の有る物が良いでしょう。
カワラ菌糸との相性の良さも実証済みです、成長速度も著しく1年目で25g超えてきます。が、カワラ菌床飼育下お馴染みの3令期での交換は蛹化を促し捨てボトルとなりますので1年1化となってしまいます。使用したカワラ菌糸の銘柄は神長きのこ園さんの「Eカワラ」にて1年1化(正確には1年+5ヶ月、8月孵化より翌々年1月羽化にて1年1化グループとのブリード出来た為に1年1化でカウント)で最大88mmでした。
飼育に措ける幼虫期間
♂約1〜3年間
♀約1〜2年間
孵化した時期が夏に近いほど1年1化になる比率が高くなり、秋〜冬前の孵化は2年1化になる傾向が有ります。
通常♂は菌床(ヒラタケ)飼育下に措いて2年1化で羽化するケースが多く、その場合は80台中盤以降になり易い。カワラ菌糸使用時では1年1化でも80upも臨めるが、3令中期以降の交換は難しく扱いに難あり。
また♀は菌床(ヒラタケ)飼育下で1年1化と2年1化の比率は半々、♂の生育状況に合わせての温度コントロールが必要。
新成虫の休眠期間と管理方法
2年1化にて羽化の場合は6〜9月に、また1年1化時は9〜12月になる傾向が高い。
注意する点として2〜4月の羽化は極力避ける。
基本的に翌年シーズンまで休眠する種であるが、春に羽化した個体はその年の夏に活動してしまう可能性も有ります。
羽化させた新成虫は微粒子発酵マットを容器に堅く詰め蛹室状に形を作り、その中に成虫を入れ産卵木の破片を蓋にし、その上に水ゴケを被せて恒温庫にて管理してます。活動開始させるのは羽化の翌年6〜8月、 新成虫平均寿命は後食開始より6ケ月前後。一定の休眠期間を取る種にて、3〜4ヵ月の羽化ズレであっても翌年に起こすタイミングを合わせればブリード可能。
産卵セット編
まず最初にペアリングは本種が現地で発生する時期である7〜8月に合わせ活動を促した後、餌食いの状態から成熟具合をチェックしを行います。
メイトガードから♀が離れれば単独で産卵セットへ投入します。
ペアリングまでの工程は比較的スムーズに行えると思います、ただ成熟が浅いと手を焼く可能性も有りますので焦らずに行いましょう。
ペアリング時に♀殺しするケースはあまり無い種です、ただ思わぬ事故もあるやも知れませんから♂の顎はグルーガン等で固定した方が無難かと思います。
産卵木のチョイス
入手し易い産卵木としては砂埋めレイシ材や殖菌材やコナラ材等のホダ木でも産卵実績が有ります。調達が容易な反面、砂埋めレイシ材の場合は太目な物になってしまいセットのスペースが大きくなってしまう点ですね。殖菌材やコナラは事前の仕込みが必要になり些か難しい面も有ります。♀の反応が良いのは輸入材のVN材や天然カワラ材の方ですが、VN材は年に1〜2回しか入荷せず時期によっては手に入り難いかも知れません、近年に措いては入荷当初の様な神がかった材では無くなりVNだから産卵するとも言えなくなりました。
また、シハイタケ等によって朽ちた天然カワラ材もオオシカの産卵に適してます。肉質の良い物はVN材以上の成果も出ますが、流通量も少なく本当に良い材は入手困難でしょう。樹材はブナやエノキを好む方が多いい様ですが、肝心なのは朽ち方でして堅い物は使い道が無いです。
サクラ・ケンポナシ・ケヤキ・アヤメガシワなども有効です、良い物が手に入ったら是非試して下さい。
ル1
エノキ材
ブナ材
ケヤキ材
ケンポナシ材
5
VN材
産卵セットを組む
ウッディのブリードに成功されてるブリーダーさん其々独自の工夫をセットに取り入れてる事と思います。
その組み方も多様で好んで使う材も異なります。
オオシカの産卵パターンは有りますので、それに合ったセットの組み方が大事だと考えます。
スタンダートに材の横置きの半埋めで数か月後に幼虫で回収してる知人もおり、組み方は様々と思います。私は卵を全て回収する方法を取っているため、採卵に適してる材の立置きにて組んでます。他のシカ・ニセシカ等が産卵する場合はマットへ潜り埋め込んだ材へ好んで産卵しますが、オオシカはマットから上の部分の材へ産卵し易い傾向が見られます。
管理温度は20℃以下でとの話も聞きますが、そこまで低温でなくとも22〜23℃位までなら経験上問題ありませんでした。
マットへ潜っての産卵は確認してません、基本的に材産みと言う事になります。卵を産み付け易い様に材の配置を考えてセットを組む事がポイントになります。
成熟度・産卵木・セット環境の条件を満たしていれば、産卵セット投入より1〜3日目には産卵痕が確認出来ます、遅い場合は10日前後かかる場合もあります。齧るけど産卵しない時は材が悪い可能性が高いと思います、
採卵から孵化まで
ウッディのブリードにおいて最大の醍醐味になるのが産卵ですね!首尾よく産ませる事が出来たなら成功への扉が半分開いたと言っても良いでしょう。
産卵痕を確認出来たらピンセットで埋戻しを慎重に取り除き卵を回収します、ゆとりの有るスペースの卵室内にあるので取り出すのも容易です。
最後の試練とも言えるのが、産み落とされた卵の状態です。健康な有精卵なら孵化率は8割を超え、もうこの時点で成功と言えるでしょう。問題なのは、そんな卵を産んでくれないケースが多々ある事です...
数日で黒点が出たり、最初から溶けかかった卵だったり、また卵室に2個3個とくっ付いて産み付けられる場合もあります。上手く掛かっておらず無精卵だからでは?と思われるでしょうが、その数日後に全く問題の無い卵を産み無事に孵ったりします。これらは飼育品・野外品共に同じ症例が見られ、これまでの実践で良い時と悪い時のバイオリズムが顕著に感じられました。もちろん良い時が続いた時は100個を超える爆産・孵化の大成果データーも有ります。
産卵より2〜3日後には採卵を行い日付けを付けて管理してます。
採卵時に2個以上くっ付いた卵、黒点若しくは色にムラが有る物等、異常の見られる卵は回収しても数日で腐りカビが発生しますから回収しないか容器を分けて保管した方が良いでしょう。
通常25〜30日にて孵化します、産卵日が同じだと画像の様に孵化も同時になる事も珍しくありません。
ウッディ飼育の難易度とは。
ウッディは難しい虫と思われがちですが、飼育自体の難易度は左程高く有りません。一番のネックになるのは野外品の入手です、年に多くても10数ペア程度の入荷数で価格もペア30万円〜と高い相場を保ってます。近年では僅かながらアルナーチャルからの入荷も有り、此方は希少価値も相まって♀単で40万円〜との事です。本種のブリード成否は個体の当たり外れ次第と言っても過言でない虫ですから、高額な野外品でのハズレは引きたくないところでしょう。
幼虫からの飼育の場合は温度管理出来る飼育環境であれば幼虫飼育で失敗するケースも少なく、80台後半の個体を出すのも難しく有りません。
基本的に大型種ゆえ2年1化になり易く休眠期間を加えるとブリード可能になるまで孵化より3年間要する事になります、この累代サイクルの長さも難易度の一つと数えてられるでしょう。
先人方のお蔭にて現在では難攻不落の虫では無くなりましたが、少しでも気を抜けば累代の途切れてしまう虫でも有るのも事実です。近年では生体より産卵木を調達する方が難しいですね。(^_^;)