Dorcus donckieri donckeri

ドンキエルコクワの飼育

ドンキエルコクワガタ(原名亜種)
原産地  ミャンマーカチン

亜種のハンプイが黒に対して、原名のドンキは上羽に雌雄共赤見が強く出ます。更に入荷数も僅かな為に人気も高い種です。

2009・7月WD♀入手
ドンキエル・ドンキエルWD♀44mm 上羽根の赤みが強くサイズも70後半まで狙え、そのサイズにもなれば顎先が良く伸び魅力が増します。形だけなら同種のハンプィ、他にもネパールコクワなど近い種が居ますが、限られたスペースで飼育してる当方では飼育出来るのは1種のみ、、ここは迷わず赤ドンキでしょう。

初二令幼虫を昨年入手し飼育してましたがブリード出来るのも先の事です、ドンキのブリには興味が有りち切れず7月に入荷したWD♀単を入手しセット開始しました。

WD♀44mm産卵セットへ
産卵形態は材へ穿孔し卵を産む虫でメソトプスやアロトプスに似てると聞いてますので手持ちの殖菌材と菌床で試みる事にしました。用意したのは殖菌レイシ材、殖菌カワラ材、殖菌ニクウスバ材、カワラ菌糸ブロックです、菌床への反応が良いとは聞いてましたが安全の為出来れば材へ産ませて見たかったのでレイシ材から順番に誘導坑を開けレギウス同様に頭から投入するも全て反応せず潜りません、、結局は菌糸ブロックで採る事になりました。

当時手元にストックしていた「VNカワラ」のブロックへ誘導抗を作り頭から入れて様子を見るとスンナリ潜り一安心も束の間、翌々日には出てきており、アレレ駄目なのか?とも。取りあえず、そのまま3日程様子を覗いましたが材へは再度材へ潜らないのでセットを組み直す事にしました。

一応ブロックを割って見ると卵が三個発見!まだ早いのか楕円形の卵で、因みに孵化したのは一頭のみ・・・

再度同じセットで試みるも前回同様に♀は2〜3日で出てきてしまい爆産の気配は感じられません、、、取りあえず♀は回収しケースへ戻し餌を与える事にし、穿孔させたブロックは今回は10日後に割り出して見ました。結果は腐った卵が3個のみです、、(・・;)

やり方が悪いのか、ハズレWDなのか、色々考えて再度セット方法を変えてみる事に。基本的に1回の産卵で10〜20は産む種のハズなので、之までのセットに問題が有ったと考え、まずは使用した産卵材をブロックから自分で詰めたカワラボトルへ変更。
先に使用したブロックも1ヵ月以上常温で置いた物を使ってましたが、それでも水分量が多く感じましたので、フタマタ用に使用してるカワラ菌糸で作成し二次発菌で詰めてから40日以上経ってるボトルをチョイス、他にも埋め込みに乾燥したチップを使いケース内に湿度がこもらない様に組んでみました。

菌糸ボトルで再試行
先のセットでは数日で出てきてしまった♀も気に入ってくれたのか、ボトル内部奥まで潜り5日目にはボトル側面から産卵された卵が2個現れ、その後もボトル内部に留まり本来の産卵行動をとってる様子でした。2週間経っても卵は痛まず膨らんでるので、このまま孵化まで待つ心算ではいましたが・・・

まあ、結局待ち切れずプラボトルをニッパーでバリバリと・・・・
結局いつものパターンです。(^^ゞ

産卵ボトルに使用するカワラ菌床は何でも良い訳では無く微粒子チップで尚且つ菌の勢いが余り強く無いタイプを選んで下さい。メソトプス等の幼虫に実績の有る菌床は菌の勢いも強く1ヵ月寝かしたボトルを使用しても産卵床が再び発菌し卵が全滅してしまう恐れが有ります。、ボトル側面に♀の齧った痕が数日後に再び白く戻って消えていたり、ボトルへ穿孔した際にかき出したフレークが白く塊る場合も危険信号です。

ようやく成功!採卵数22個

ババイ等、菌糸ボトル産卵させた場合は孵化しても落ちる事無く周りの菌床を食し初二令幼虫で回収可能です。今回のドンキエルもカワラ菌糸で幼虫飼育する予定でしたから、このまま放置して幼虫で回収するのがベストと思ってはいたのですが、何せ未だに得た幼虫は1頭と不甲斐ない結果も有り安全策との口実で割り出して見る事にしました。

側面より見えていた卵の他にも多数の卵を発見!!
予想外の収穫に採卵に気合いが入ります。

側面より確認出来ていた卵は2個でしたが、内部のより21個の産卵を確認。その内2個は黒く変色し掛けており破棄、それでも22個の回収数は満足出来るものであります。画像の卵でも確認可能ですが既に幼虫が透けて見えてますね、孵化も目前でしょう。

回収した卵も順調に孵ってきました、画像の幼虫は孵化より一週間目です。
何とか累代するには十分な数も得られて結果オーライでしょうか、後は色々と試しながら大型個体を狙うだけですね。

今後の課題は幼虫飼育に合う餌選びです、昨年初二令幼虫で4頭入手しオオヒラ菌糸で飼育してましたが幼虫も今一大きくならず結果は画像の♂66mmが完品で羽化のみ、残りは羽化不全や幼虫のまま蛹になれず★になり燦々たる結果に (・・;)

一応コクワなだけに黒虫を意識した幼虫飼育したつもりでしたが、産卵形態から見るに我が家で飼育してる色虫達と同じ飼育環境の方が合っているのでは、と。次はカワラかな。

今回の幼虫は全頭カワラ菌糸にて飼育する事にしました。昨年12月に2令中期で800ボトル投入後、約3ヵ月経過の画像です、良い感じで成長してますね!ヤハリ、カワラは早い。でも、その反面ボトル交換が難しいです〜一か八か交換した方は2周3周と暴れてしまいました、かなり寝かしてたボトルでしたが裏目に出ました・・・

孵化より8〜9ヵ月目に入り、♀が1頭蛹で他の幼虫も蛹化準備段階へ突入してます。更に昨年の種親WD♀が生存しており、4月に再度セットを組み1ヵ月後の5月中旬に割り出してみました。
結果は初令幼虫1頭と卵1個を回収です、実際の産卵数は5個だった様で腐った卵が2個に既に落ちた幼虫が1頭居ました。回収した卵は数日で無事孵化したので2頭得る事が出来たのですが、♀の疲労度が著しく・・流石にもう無理かも知れません。

〜2012/7月 
3年ぶりの赤ドンキ飼育記録更新です、もちろん累代も続けてますよ!
ウッディ・ボーリンに続いて飼育の御相談が多いいのが赤ドンキです、飼育記録も初年度より書いてませんでしたので個々の返信になってましたが、御相談の多かった2点について追記致します。

ペアリング時期について
累代は今期でWF2が羽化して来てます、孵化までのサイクルは約1年弱と言ったところです。初夏位から羽化する傾向が有り、この時期なら2ヵ月目より餌も与えれば活動開始もします。只、経験上では羽化した年の秋にブリードを行うよりも翌年の春から行う方が良い結果が出てます。羽化した年の秋にセットを組んだ♀でも翌年に再度産卵しますが、産卵総数と孵化率ともに大きく差が有りました。焦らずにじっくり取り組んだ方が確実だと思います。

前蛹〜蛹化ステージについて
幼虫飼育にはカワラ菌糸を推奨しておりますが、実際にも幼虫の成長著しく本種の特徴が出る位の大きさまでになります。3令期中期以降でのボトル交換、もしくは終令期になると大方それまで順調に育っていた幼虫が一転して暴れてしまうと言ったケースに遭遇すると思います。これらは蛹化のスイッチが入り蛹室を作成する準備行動にて、こうなると何度菌糸を変えても結果は同じです。
基本的にマット状になり蛹室を作れる環境になればおさまりますが、中には数か月間蛹室を上手く作れない幼虫もおり心配される方も居ますので、羽化ズレや不全を防ぎ安全に羽化させる為に蛹化用のボトルを使う事をお勧めします。
保湿性の高いVNマットや劣化の遅いZマットを半々にブレンドしたマットを使用した蛹化ボトルへ暴れ始めた幼虫を投入すると蛹室をスムーズに作ります。ボトル底面に蛹室がある場合には崩れない様に蓋とマットの間にキッチンペーパを詰めてからボトルを逆さにすれば良いでしょう。